人とロボットが共生する未来社会 (ga018)
Offered By: Osaka University via gacco
Course Description
Overview
本コースでは,近い将来に訪れると期待されるロボット化社会において,我々人間は何を学ぶのかを議論し,ロボットと人間の深い結びつきについて学ぶ.
これまで日本は産業用ロボットで世界を圧倒的にリードしてきた.そのロボット技術を基に今度は日常生活の場で活躍するロボット,日常活動型ロボットが普及しようとしている.この新たなロボットとそれまでの工場で働くロボットの最も大きな違いは,人と関わる機能にある.日常活動型ロボットには,人との関わりの機能が必要不可欠である.
しかしながら問題は,人とは何かということが未だ明らかになっていないことである.認知科学や脳科学においても,それは最も基本的で最も困難な,いわば研究の最終目標である.しかしながら,日常活動型ロボットを実現するには,人間に関する知識が不十分なままに,人間と関わるためのロボットの機能を実現しなければならない.すなわち,日常活動型ロボットの研究開発は,人間について理解を深めつつロボットを開発する必要がある.
このような日常活動型ロボットの研究では,ロボットそのものが人間を理解するテストベットであり,また,人間に関して理解が進めば,その理解を基により人間と親和的に関わることができるロボットが実現される.すなわち,ロボット開発と人間理解が同時に進行していくのである.
本コースでは,人間理解を伴う日常活動型ロボットの代表的なものとして,人間に酷似したロボット,いわゆるアンドロイドの研究開発を例に取りながら,その研究開発を紹介すると同時に,その研究開発を通して,どのように人間に対する理解を深めていけるかを議論していく.特に,人間の存在とは何か,心とは何か,感情とは何かという,人間にとって重要であるが答えが簡単に得られない問題について,アンドロイド研究がどのような哲学的考察をもたらすか議論する.
このコースの講義を通じて,今後我々はどのようなロボット社会を迎えようとしているのか,そしてそのロボット社会において我々は何を学ぼうとしているのかについて,考える機会を持っていただきたい.
Syllabus
第1週:ロボット社会
なぜ人間型ロボットを使うようになるのか。人と関わるロボットの役割や、人間型ロボットに支援されるロボット社会の実現について解説し、これまでのロボット研究や今後の研究開発の状況について講義する。
第2週:アンドロイド
アンドロイド、ジェミノイドを用いた様々な取り組みを紹介し、それに対する人間の反応の実験結果について講義する。
第3週:人とロボットの関わり
ジェミノイドを通じた経験の共有、感情や死、心の表現について解説し、人間らしさとは何か、我々は人間の存在や安心をどこに感じるのかについて講義する。
第4週:ロボットの進化と人間
ロボットをより人間に近づけるための最新の研究動向について解説する。また、ロボットと人間それぞれの定義や、人間の生きる目的について講義し、未来のロボット社会を展望する。
Taught by
Hiroshi Ishiguro
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